資産担保証券(ABS)の買い入れ

日銀による資産担保証券買い取りが行われる。資金を市場に流すと同時に、銀行の貸出債権などを裏付けに発行する資産担保証券市場を育成するという目的だ。日銀が買い入れをすると、流動性が増し注目が高まる。そうして市場が活性するという仕組みだ。市場が活性すると銀行のヘッジが可能となり、さらに中小企業へ貸し出しを行いやすくなる。
本当は市場に出回っている資産担保証券を買い入れたいところだが、市場がないのでできない。そのため銀行に資金を提供する形になるので即効性は期待できない。また格付けBBまでを当面1兆円を限度に買い入れるということなので日銀資産の質の低下は必須だ。
この取り組みが最近の株価上昇を説明しているのではないかと思えてきた。総裁選も近づき外交で成功した小泉首相の残る課題は経済対策である。そこで資産担保証券買い取りなどを行い、市場の期待を持ち上げたいところだった。それを先取りし、外国人投資家が買いに走ったとも考えられないだろうか。銀行株が顕著なのも納得できる。(SMFG、UFJが特に中小に力をいれていることで特に上がっている。)また、アメリカ経済の先行きは安心できず、分散投資のため日本株の枠を広げることも影響している。ここで、長期国債金利上昇を続けていることについても、短期的期待に留まり長期的にはまだまだ不透明感が強い結果ではないだろうか。となると、そろそろ停滞期を迎え、場合によっては暴落もありうるかもしれない。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt37/20030611AS1F1102611062003.html http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20030409mh05.htm