UFJが劣後債発行。その効果は?

UFJ銀行は20日、03年9月中間期に日米で合計2300億円の資本増強に踏み切る方針を明らかにした。それぞれの機関投資家向けに劣後債を発行、公募方式で日本では800億円、米ではドル建てで1500億円分を調達する。不良債権処理などに備え、自己資本を積み増すのが狙いだ。経営の健全度を示す同行の自己資本比率は、3月末の10.05%から0.3ポイント程度向上する見通し。(http://www.asahi.com/

劣後債とは社債の一種であり、発行体の債務弁済順位が一般の社債よりも劣る債権である。つまり、会社が解散した時、元本返済が一番最後になる。その分、債権者はリスクを背負うことになるため、それなりの経営の健全性とそれに見合った高金利がないと発行しにくい。また、元本リスクがあり高金利ということで株式と似た性質を持っているので、自己資本に組み込むことが出来る。
余談ではあるが生保では広義の自己資本の一部とされていて、劣後債発行によるソルベンシーマージンの上昇は健全性の上昇をアピールする材料になるとも限らない。
ここで今後の勉強として、UFJがどう評価を受けるかに注目したい。自己資本対策では今年の初めに三井住友銀行優先株を追加発行したため、それをきっかけに株価大下落を引き起こした。しかし、それからりそなの公的資金注入をきっかけに金融システム不安は一時払拭されている。(モラルハザードの議論は残ったままだが、短期的には投資家にとって嬉しい出来事であった。)
以下にポイントを整理しておく。結果としてUFJ株は好印象を得て若干上昇すると予想する。

  • 金利が上昇傾向にあるが、まだまだ低金利であるので配当コストの負担は従来ほどではない。
  • 不良債権処理を加速し、配当コスト以上の収益につなげる自信がある。
  • 最近の株価をみていても、UFJの経営の評価は高いので公募方式をとれるようになった。
  • まだ、不良債権に悩む銀行業界に失望感を印象付ける可能性がある。